『男性の(俺の)家事進出』について


(以前、島のお母さんに手とり足とり…結局つくってもらった魚の煮付け)


皆さまご無沙汰しておりまーす! お元気ですかー?
先日あまりに衝撃的なことがありまして、筆(というかキーボード)を取る次第。

海士町に移住してから1年、再婚してから早くも半年が経ちました。光陰矢の如し、です。まさに。
先日、出張中に妻から「夫婦としてあなたは私に何を望むのか?」という主旨のメールがLINEで届きました。僕としては率直に『あんまりないかな。大切な局面できちんと話し合いができることと、お互いがお互いの人生を尊重できることくらいかなぁ(原文ママ)』と返信。まぁでも、出張中だし、あまりいい予感はしません。笑

出張から戻って(船が2日も出なかったのですよー)、改めてゆっくり夫婦で語る時間を設けてみました。実は数カ月前に古市憲寿氏の『保育園義務教育化』という本を読んでおり、女性の社会進出(そんなに大げさなものでなくても)について真剣に向き合わなくては、と思うようになったことも大きな要因のひとつです。一人の旦那としても、一人のプロマネとしても。

彼女の話しをざっくり要約すると、仕事をしながら家事をすること(主にこの日は晩ごはんをつくること)は思いの外大変である、結婚してから私は以前より家のことを気にしながら仕事をするようになった、それに比べてあなたは存分に仕事に集中している、それについてはどう思うか、という内容でした。もちろんもっともっと柔らかく聞いてくれましたYO!

お恥ずかしながら、僕の実情を正直に告白しますと、結婚してからの家事は食器洗いとたまの洗濯とトイレ掃除、ほんのたまに掃除機をかけるくらい。そして食事の準備はまったくのゼロ。いつの間にか妻に任せっきりになっている自分がいました。どうか何卒炎上しないでほしいのだけど、それが結婚のひとつのメリットとすら考えている自分がいました。ご、ご、ごめんなさい!

ここで改めて古市さんに本当に感謝なのですが、本に書いてあることがほんとそのまんま妻の口を通して目の前に発現しました。そして、これは自分の態度と姿勢を改めるチャンスだと一念発起し、彼女と約束をしました。


『家事(主に晩ごはん)を1週間ごとの交代制にしよう』


超絶簡単な話です。一週間ごとに晩ごはんを交代制にしましょう、と。
当たり前にやってらっしゃる方も大勢いる中で、こんなことを書くのも本当に憚られるのですが、冷蔵庫の中身すら把握していない自分としてはちょっとした出来事でした。

僕は絶望的に料理ができません。
そんな僕に人々は口を揃えて『は? クックパッドとか見ればいいじゃん』と言います。でもね、じゃあ反対に問いますよ、『適量』って何スカ?! サッカーで言う『適度な強さのインサイドキック』みたいなもんすよ、そんなん。そういうのがさっぱりわかりません。サッカーをすると『チームに迷惑をかける』みたいに思う人がいるかもしれませんが、僕はまさに『料理をすると逆に妻に迷惑がかかる』と思っているのもまた事実です。
まぁ、いいんですよ、とにかく古市さんのおかげで一念発起。やってみることにしました。(古市さんとお友達の方がいらっしゃれば、焼肉くらい奢りたいと伝えてもらえますか?)

で、月曜日です。早速僕の当番週が回ってきました。
前日の夜に、冷蔵庫の中には豚肉とキャベツ、大根、人参、じゃが芋が入っていることを確認しました。人によっては『何でもできるだろ、ボケ!』となるでしょうが、僕はカレーくらいしか想像ができません。でもいきなりカレーで「あぁやっぱりね…」とガッカリさせたくありません。そんなことを考えていたら眠れなくなりました。笑

さて、朝です。
職場に到着して、昨夜から同じようなことを考えていたら、ぜんっぜん仕事に集中できない。

「どれくらいお腹を空かせて帰ってくるのかな」、「つーか、そもそも何時に帰ってくるのかな」、「そもそも俺って何分あれば料理できるんだろう」、「おい、待て!まずは何をつくるか考えた方がいいだろ!」、「えーっと冷蔵庫の材料何があったっけ…」みたいな一人脳内会話(永遠ループ)をし続け、同僚の話がまったく頭に入ってこない。(ごめんなさい)
夕方にはほとんど『早く帰って準備しないと…』で胸が覆い尽くされました。

衝撃的な腹落ちでした。こんなに衝撃的に腹落ちするのははじめてかもしれません。正確な数値とかデータとかわかりませんけどね、家事(と育児)の多くを担いながら共働きしている世の女性って結構多いでしょ。その人たちってきっと毎日こういう感覚なんだろうな、と。(もちろんね、料理がちゃちゃっとできちゃえばそんなに毎日激動じゃないと思うし、それが好きだからほっとけよ!って人もいるだろうけど)

『忙しい』から『家事ができない』って応えている男性のアンケートを見ましたが、これって女性からみると『は?』でしょうねぇ…。嗚呼ごめんなさい。

自分の中では『女性の(妻の)社会進出』じゃなくて(そもそもとっくに社会に出てるしw)、『男性の(俺の)家事進出』とかに言葉から変えないとダメだな、と。
自分のように『教育』に携わる人間は、本当にこれからこういうことを自分でやっていかないと説得力なくなるよな、と。正直なところ、「は? もう説得力ありませんよ?」と言われても反論できない。これから『態度で示していく』しかないなぁと思います。

うちは結婚したばかりでまだ子どもはいないけど、子どもが生まれたらきっともっと変わるんだろうなと思う。その時に向けて、いまたくさん失敗しておこうと思います。

この日、僕は『豚とキャベツのミルフィーユ煮』と「ほうれん草と大根の味噌汁」をつくりました。胸を張って旨かったと言えます。出汁の粉と砂糖の色が同じで味噌汁に砂糖入れたけどね。(ほっといてくれ!)
でも、何より『人がつくったものはやはりおいしい』と言って、喜んでくれる妻を見て嬉しくなりました。(「おいしい」って口に出すことの大切さも身に沁みてわかるわけです)

最後に、男性の皆さんへって超絶上から目線でメッセージを残そうかと思いましたが、まだ数日しかやってない僕からはとくにコメントはございません。笑
食事は私、洗濯はあなたって分担してやっている人もいるだろうし、私は家庭、あなたは仕事って決めている人たちもいると思うし、それはそれで別に正解とか不正解とかないと思うのです。私が100であなたはゼロでも納得できればそれでよし。こういうのは当事者同士の話し合いの『納得』の問題であって、誰かが誰かに強制するものでもない。
ただ、僕のように無自覚にそうしてしまっている男子の皆様には、代わりに日経の記事を貼っておきますのでぜひご一読いただければと思いますよ。

「たった数日でよく書くよね」と隣で妻も呆れておりますが、これはひとつの宣言でもあります。1年後、このエントリーを見て、「レパートリーが増えたなー」っていう日が来るといいな。

その日を夢見て明日はカレーをつくります!(結局カレーか!w)